映画その11

サンブンノイチ

 
 
 
全体を通した感想としては
 
監督はこう云うの
やりたかったんだろうなぁ
 
と云う推察だけが残った
 
 
 
内容としては
情報が後から後から開示されていく
帰納法の構成だが
 
伊坂幸太郎(敬称略)の
フィッシュストーリーような
情報が結合していくラストでの
加速度や感動及び爽快感は特に無く
 
技法が完全に
活かしきれていない印象で
 
感情は全然揺れなかった
 
題材と構成が
適していなかったのだろうか
 
あの手の情報の並べ方には
 
同時に併用しなければ
効果が薄くなるような要素が
他にあるのかも知れない
 
それが欠けていたから
中途半端な見応えで終わったのだろう
 
 
 
そして幅跳びのくだり
 
自分が経験者だった事もあり
より一層冷ややかな気分になった
 
 
 
気持ちで跳べる距離が決まる…
幅跳びで遠くに跳ぶコツだ
 
と云う台詞が有って
 
言いたい事は解るのだが
全然グッと来ないのは
 
それを言うキャラクターに
説得力が一切無いからだろう
 
気持ちがどれだけ有ろうが無かろうが
跳ぶ奴は跳ぶし
跳べない奴は跳べない
 
自分の実体験なので
その辺興醒めでした
 
 
 
ビルからビルへ跳ぶシーンも
 
中島美嘉の足が
どう見ても跳べる足じゃないし
単に細過ぎるし裸足だし
 
そこだけファンタジーになっていて
世界観を胡散臭くさせてしまっている
 
幅跳びは踏み切る瞬間
自分の片足に
体重の4〜10倍の負荷が掛かる
と言われている
 
それに耐える肉体の
バックグラウンドが皆無だった
 
まぁ
 
と云う
跳躍競技に携わる事の無かった人は
 
そんな細けぇ事言ってんなよ
 
なんて思うのかも知れない
 
 
 
ただ窪塚洋介(敬称略)扮する
破魔翔がラストシーンで
 
浮かれきった主役3人が
この金はリセットボタンなんだと
それっぽく熱弁する所に
 
銀行強盗が何語ってんだ
お前らは悪党だ
 
と云う
当然の事実を突き付けて
自覚的に締める落とし方は好きでした
 
 
 
蛇足だが
俺はまだ本気だしてないだけ
を思い出した
 
自分の事ばっかり考えてるから
こんな事になるんだよ
 
と云う最後の言葉が
 
映画を包んでいる
麻痺した曖昧なダメっぷりな空気を
 
一気にまともな価値観に引き戻す感じ
 
 
 
結論
 
個人的には
前作の方が良かったなと云う印象