映画その12

悪の教典

 
 
 
この手の映画は
視聴するのにそれなりの覚悟が要る
 
映画は概ね120分の時間を使って
意識を加速させるエンターテイメントだ
 
人はそれぞれに
何らかの課題を抱えていたり
何かに追われて日々を過ごしていて
可処分時間は限られているし
 
何かを削って
時間を映画に割く事
 
それだけでそれは
それなりの意志が要る
 
では何故
いつもより多めの意志を
踏み込む対価にして
映画に能動的に関与しようとするのか
 
それはつまり
プリミティブな感覚
動物としての自覚を喚起される事を
期待しているからである
 
 
 
劇中はサスペンス状態の中
 
蓮実と云う教師が
ゲームセンターで
ゾンビを撃ち倒してゆくように
 
救いの無い一方的な蹂躙が
校内で繰り広げられる
 
それらのシーンは
見ていて気分の良いものではない
 
誰かこいつをなんとかしてくれ
 
そんな気持ちで
アーチェリー部のあいつに
薄っすら期待を抱きつつも
 
同時に
この流れだとどうせ呆気なく
猟銃で吹っ飛ばされんだろうなぁ
 
と云う
明察になって欲しくない予測を
 
ストーリーは当然のように
裏切ってくれなかった
 
そういった感情を引き起こす為に
2人の恋が始まるような
淡い描写を差し挟んだのだろうな
 
最終的に蓮実がどうなるのか
 
完全犯罪に仕立て上げるのか
 
或いは
捕まるのか殺されるのか
 
と云う
最低限の落とし前は
着けてはくれたけれども
 
しかし
フラストレーションの溜まる映画だった
 
嘘を隠すために嘘を付く事の極論が
あの映画のような結果を生むのだろうな
 
良識や常識の類を見解に持ち出すのなら
この映画を見る価値は無いと思う