牙を見せろ

結婚して 子供が生まれて

 
変わった事や
変わらなければならなかった事が
 
今まで大切に培って来た習慣を
有耶無耶にさせた
 
あれ程足りなかった1日を
 
先送り
と云う名の言い訳で
 
漠然と過ぎ去るのを待つだけの
消費的な1日に変えたのだから
これは大きな変化だ
 
でもそうするしか無いんだ
 
全部大事になんて出来ないし
 
目の前に在るたった1つの事を
護り抜く事すら
出来るかも解らないくらい
 
世界は理不尽だし
 
僕は無力だ
 
そんな風に
ただの生活に日常に
巻き込まれてしまったままの
不甲斐ない心だが
 
スクールに通い始めた時期を契機に
何やら新たな変化が起きている
 
ある種の牙が抜ける
と云う事に対する当時の懸念は
的中したと言えるのだが
 
寧ろ今は
その抜けた牙を振り回している気分だ
 
まだまだやれるぜ
 
そう思えている事が
何より嬉しいのだ
 
それ程
執着や愛着に伴う情熱の有無は
人を変えるのだ
 
 
 
果たしてこの生活が
 
15年掛けて結晶化された
焦がれる程の想いを
 
犠牲にする程のものだったのか
 
気持ちの悪い疑問を抱いた日も有る
 
自分が何をしたいのかさえ
解らなくなるくらい
労働と生活に意欲を奪われた時間も有る
 
 
 
でも今は違うし
 
今までのようにはいかなくて
それは当然の事だ
 
生活の基盤は圧倒的に変わったし
 
思考に割ける時間は僅かなのだから
 
今の自分に足りないものは
 
今の自分が抱く事の出来る
必死さや真剣さであり
 
そこから生まれる
無防備な遊び心だ