加速の中に居たい

あらゆる面で燻っていた大学時代

 
退廃的で眠たい閉塞感が
心を覆っていて
もがき苦しんでいながらも
足掻きたいのに
体が動かない
 
そんな状態がよく続いていた
 
 
 
と或る日に
映画館に足を運んだのだが
 
劇中
物凄いエネルギーで
海の上を爆走する赤い女の子
 
ポニョを刮目した時
 
なんだか解らないけど
何かが溢れ出すように
涙が出た
 
 
 
自分の心の奥で
八方塞がりの位置から
 
意識の加速と解放の追体験が
あのシーンと共に
心で暴発したのかもしれない
 
 
 
なんなんだあれは
 
 
 
今思えば昔からそうだった
 
加速する意識の中に居るのが好きだった
 
走る人を見ているのも
自分が走っているのも好きだし
 
それに伴う体感速度に
わくわくする
 
音楽もBPMの高い
駆け抜けているリズムが好きだし
 
音楽から見えてくる映像は
大体が走っている足元の動きだ