内省を取り戻した夜

窓を開けてみる
 
風が強い
 
台風が接近しているらしい
 
この海のような風の音が心地良い
 
雨も降っている
 
1人真っ暗な部屋で
横になって考える
 
丁寧に考える
 
 
 

自分自身が本当に

デザインをやりたいのか
 
と心に訊いてみれば
 
実は別にそんな事も無い
 
結局どれも手段の一環だ
 
ただ今よりはマシだと
 
そう思っている程度の願望だ
 
だから弱いんだ多分
 
能動的に肉薄しようとする意識が
 
出来るんだ
という心に持ってくるまでが
苦しくて眠たい
 
自分の心を激しく動かした媒体の中に
デザインが有ったとは
今は思えないし
 
視点を変えれば
沢山有ると
解釈する事も出来るのだろうが
 
もしこの先
デザインに纏わる何かに
感動するような事が有れば
 
デザインの事を
今より意識出来るし
自然と好きになれるのだと思う
 
まだその分野に
憧れるような人が居ない
 
見つけたい
 
 
 
区切ってみれば
対極的な2年間を過ごした
 
25歳26歳
人生で1番必要な時間だった
 
生きている手応えを
明確に感じていた
 
27歳28歳
クソつまらない記憶しか無い
 
此処に半年居たら
感性が腐ると懸念していたが
本当にそうなった
 
恋人との結婚を選び就職し
少なくともコンスタントな収入を得て
 憧れてた自分の姿は消えて
 
そして2年以上が経つ
 
どうしようもない
 
大半の人がそんな気分
一回くらい味わってるのかもな
 
ただ
そこに居る事しか出来なかった
自分が居ただけだ
 
そんな自分が1番クソつまらない
 
だから足掻いてる
 
でも何故か
笑う事は増えた気がする
 
 
 
憧れていた人が当時
同じ年齢で成し遂げた事を思い出して
 
何やってんだ今の自分
と思い知って
 
自分より歳下の人が
成し遂げた事に触れて
 
何やってんだ今の自分
と思い知って
 
それすら通り越して
もうどうでもいいなんて
自暴自棄的な気分に毒されて
 
時間の使い方を忘れて
 
挙句なんとなくな意識に
支配されたりして
 
2年前は
もっと死ぬ事について考えていた筈
 
つまり生きる事を考えていた
 
何故こんなにも
漫然とした気分なんだろう
 
自分の軸となっていたものを
失ってしまったからか
 
結局やりたい事なんて
そんなに多くはない
 
漫画を描こうとする自分と
 
音楽の中に身を置こうとする自分
 
そのフィルターを通した視界で
眺める世界しか僕は面白く無い
 
逆に言えば
そのフィルターを通せば
視界に映る景色は面白い