風呂

娘の風呂入れ係に就任して以来

僕はその界隈では
風呂入れじじぃとして君臨している

娘は風呂好きのようで
新生児用の小さな風呂で
お湯に浸かりながら
笑ってはしゃぐような
風呂ライフを送っていた

ところが一変

そろそろ一緒に入ってみよう
という試みを遂行しようと
大人が入る浴槽に一緒に入ってみたら
程なくして
大泣きしてしまったのである

幼児からしたら
湖に足を踏み入れるような
気分なのだろうか

あんなに好きだった風呂ライフが
大泣き風呂ライフへと
変貌を遂げてしまった

以来

浴室に足を踏み入れるだけで
何らかの恐怖スイッチが入ってしまい

依然として
大泣き風呂ライフは
止まるところを知らない状態
だった



そして今日ついに
お風呂に対するトラウマとの闘いに
終止符は打たれた

泣かれる事に最早
慣れてきていた為
半ば諦めに近い感覚で
泣くなら泣くがいいさ
という感情と

君の好きにしていいよ
という作り笑いで

絶えず喋りかけながら
娘と対峙していたら
泣き止んだどころか
それに加えて笑い出したのである

勘違いかもしれないけど

実は想いって
なんらかの形で届いてるんでないかと

そう思ったら

日常にある些細な勇気だって報われる
という確信を
後押ししてくれる気がしてきた

なんて
大袈裟な考えにまで派生して
発展してしまった